仕事にも品質がある

技術系出身ではない私が大事にしてきたこと

私は技術系出身ではないので、少し目線をかえて「仕事の品質」について書きます。私の担当事業である海外家電メーカー向けの基板事業に携わって、今年で約20年になります。

この事業に携わる中で、私が大切にしてきたのは、目の前に置かれた課題、やるべきことを、自分のできる最高のパフォーマンスで、あきらめず、最後まで確実にやり抜く事です。

当事業では、北米での家電販売シェア1-2位を争うメーカーへ、核となる基板を提供していまして、私が担当し始めた当時は、レンジ、ランドリー、食洗器、冷蔵庫と、幅広い機種を扱っていました。 中でもランドリーは顧客からの要求変動が非常に大きく、部材調達、生産調整には苦労していました。

要求変動の激しい北米大手家電メーカーを担当して

私が最初に担当したのは、このランドリー製品の基板でした。

部品調達から顧客へのDelivery対応までを一貫して行うという業務です。 部材調達は日本、アジアで行い、日本とHKの部材納入拠点、あるいはアジアのサプライヤから、基板の製造を委託しているフィリピンの協力会社へ直納してもらい、基板完成品をフィリピンから北米へ納入するというのが大きな業務の流れでした。

北米の顧客とはJUST IN TIME方式での取引として、顧客指定倉庫へ必ず4週間分の在庫をキープしなければならないという取決めがありました。 客先生産ラインで不足を発生させると、膨大なライン補償費用が発生するという恐ろしい事態となるため、緊張の毎日でした。

いわゆるOUT―OUT生産体制なので、部品輸送/基板完成品輸送も考慮してリードタイムを計算しなければなりませんが、輸送期間などは全く考慮されず、要求数は大きく変動しました。

ある時は、翌週の客先での生産必要分から、急に週当たりの要求数が2倍になり、前週までは2,000台/週の出荷で間に合っていたものが、4週間在庫のリカバリー分も含めて、4~6,000台/週の出荷を2カ月ほど続けなければならないというようなこともありました。

絶望的な状況で考えたこと

この時は、さすがに一時は絶望的な気持ちになりました。しかし私がここであきらめず、大事にしたことは、第一に、絶対に顧客の生産ラインで不足を発生させない事と、第二にトータルの費用発生を最小限にとどめることです。

顧客の生産ラインが止まる=顧客製品の販売を毀損することになります。 また客先の生産ラインをつなぐために、長い期間、部品・基板完成品を何度も空輸するような計画では、発生費用が膨大となり、お互いにメリットはないと考えました。

そこで私は、普段からの部品の徹底管理から不足状況を瞬時に割り出し、必要最低限の数量について仕入先に協力を仰ぎ、フィリピンの協力工場へ生産・出荷数量を希望日程と共にお願いしました。

そして、これをもとに、部品のフィリピン工場への空輸費用をご負担いただく事で、基板完成品の空輸費用を大幅に削減可能なプランを、出来るだけ素早く顧客へ提示しました。

記憶する限り100%の確率でプランは受け入れられ、顧客は北米への空輸費用を最小限に抑え、計画通りの生産を維持していただく事が出来ました。 また、部品の空輸費用を顧客負担とできたことで、余分な費用を発生させることなく、 売上・利益の確保も出来ました。

さらに、調整の連続だったランドリー基板の生産終息の際には、基板完成品在庫も部品在庫も残すことなく量産終了までしっかり調整できたことは、現在の業務にあたる上での基礎となり、自信ともなっています。

顧客に満足いただける最高のパフォーマンスを追求すること

このように、さまざまな関連する要因に気を配り、顧客に満足いただけるパフォーマンスを最上級で行う事を心がけ、実行してきたことが、ロスの発生も抑えることにつながるという事を身を持って学ぶことができました。

これまで、このことを意識して業務にあたってきたことで、顧客にも厚く信頼いただけるようになり、自分の業務レベルも徐々に上げることが出来てきたように思います。

私は、仕事にも品質があり、その品質をどれだけ高められるかが大切と考えています。